欧州広域森林モニタリング
PR2プロファイルプローブ:欧州広域森林モニタリング(FutMon)における土壌水分動態の効率的観測事例
著者: Forest Research(森林・気候変動センター)、Delta-T Devices
使用製品: PR2 プロファイルプローブ、DL6 データロガー
概要
汎ヨーロッパ長期森林モニタリングシステムを構築するEU Life+プロジェクト「FutMon(フットモン)」。欧州24カ国、38の研究機関が参加するこの巨大プロジェクトにおいて、英国のパートナー機関であるForest Researchは、Delta-T社のPR2プロファイルプローブを採用しました。1994年から続く既存の森林モニタリング区画にこの技術を導入することで、観測の精度を高めつつ、現場作業の時間と装備コストの劇的な削減に成功しています。
森林研究における効率的な土壌水分プロファイリング
広大な森林エリアにおける長期間の無人記録と、定期的な巡回調査を両立させるため、以下の運用が取られています。
▶ 自動・手動のハイブリッド観測: 各調査地点では、DL6データロガーに接続されたPR2プローブが深さ40cmまでの土壌水分を連続的にモニタリングします。一方で、月1回の巡回時にはプローブをロガーから外し、携帯型メーターに接続。近隣の複数のアクセスチューブ(観測孔)を瞬時に読み取る「スポット測定」も同時に行っています。
▶ 装備コストとリスクの最小限化: 1台のプロファイルプローブを複数の地点で使い回すことで、観測サイトごとの設備投資を最小限に抑制。ケーブルの露出を減らすことで、野生動物による損傷やセキュリティ上のリスクも軽減されています。
技術的特長と過酷な現場での工夫
森林特有の厳しい環境条件下で信頼性の高いデータを取得するため、ハードウェアと運用の双方が最適化されています。
▶ 4層同時測定: PR2プロファイルプローブは、10cm、20cm、30cm、40cmの異なる深さの水分含有量を一度に測定可能です。これにより、根域における水の浸透挙動を詳細に把握できます。
▶ 隠蔽・カモフラージュ運用: データロガー(DL6)はIP67の防水仕様ですが、セキュリティをさらに強化するため、地下深くのカモフラージュコンテナに隠して設置されています。
結論
FutMonプロジェクトによって収集されたデータは、気候変動や大気汚染、生物多様性の変化が森林土壌や炭素固定に与える影響を分析し、持続可能な森林管理や政策立案を支援するための重要な科学的根拠となります。PR2プロファイルプローブは、広域モニタリングという困難なミッションにおける「時間と費用の節約」を象徴するツールとなっています。